未幡の20年、これまでと使い切るまで
diary未幡を名乗って創作活動を始めて今年で20年になりました。ここまで続けて来られたのは、拙作を受け取ってくださる皆様がいたこと、運と環境に恵まれたことのおかげです。あとまあ自分自身のおかげです。これまで拙作を受け取ってくださった全ての皆様へ厚くお礼を申し上げます。そして未幡がこの20年をどのように活動してきたのかをざっくり振り返りますので、ご興味があればご覧ください。
1999~ ホームページ期
1999年3月、友人らの作る合同誌にイラストで参加させてもらい、その原稿会で決めた名前が未幡でした。その場にあったオレンジジュースのラベルの「果汁〇%未満」とそこの地名の「幡」を合わせて「未幡」としました。この年の10月にウェブサイト「N-28」を作ってイラストを公開し始めたこのころが創作活動の始まりです。絵描き友だちが出来たのが嬉しくてちょくちょく絵をメールをしたり、ウェブサイトも反応がいただけるのが嬉しくてじゃかじゃか絵を描きました。創作が楽しくてしょうがなかったです。2000年には初めて漫画を描きました。HxHの二次創作などです。漫画はアナログ、イラストはデジタル。主にウェブ活動で過ごします。
2003~ コミティア期
2003年5月、創作少女漫画を描いてコミティアに参加します。まるで売れなかった他イベントとは違いこの時は10冊くらい売れました。初参加サークルにもかかわらず。そのコミティアの創作への温かさ(貪欲さ)に感激し、ここからコミティアでコピー本を出し続けます。続けているうちにだんだんと本が売れるようになっていき、未幡が認知されていきました。漫画を描くまでも楽しいですが、コピー本を製造するのも、お店屋さんの内側をやるも楽しいのがイベントでした。なんだかんだで6年間x年4回のコミティアで新刊発行を続けました。えらい。
2009~ 百合アンソロ期
拙作同人誌を読んだ編集者の方に誘われ、2009年11月 百合アンソロジー「百合少女」(コスミック出版)にて「花筐」で商業デビュー。その後コミティアの出張持ち込みをきっかけに「ひらり、」(新書館)の執筆もさせていただきました。ちょうど未幡10年目の商業デビューでした。このころから漫画の作画をデジタルに段階的に移行しています。しかしアンソロ読切のお仕事で忙しいのも束の間、お仕事がコンスタントに貰えるわけではないので苦しくなっていきます。同じ場所に居続けるためにもっと全力で走らなくてはいけなかった。それが出来ずに仕事が減っていきます。4年半で読切10本。お仕事としてはもっと欲しい。
2014~ 百合姫期
連載のお仕事が欲しく各出版社で企画活動を進めるもうまくいかず。ひらり、が休刊してお仕事完全ゼロに。そんな折、百合姫に拾われ百合短編で初単行本「キミイロ少女」(一迅社)を出していただき、さらに連載企画の声もかけていただいて「私の百合はお仕事です!」の企画を始めます。その後短編集2冊目「少女²」を出してもらいつつ連載企画に取り組むも中々進まず。企画頓挫かという所まで追い詰められてから覚悟を決めて超頑張ります。頑張って連載企画が通り、その勢いで読切も2本描きます。そして2016年11月、コミック百合姫月刊化記念10本新連載作品の1つとしてわたゆりの連載を始めます。連載企画に足掛け2年かかってしまったのですが、現在それを越える3年もの間連載が続いています。この間で描いた漫画の量が人生で一番多いと思います。5年間で30本強位。
―そして今
そんな20年間を経て今に至ります。私は今、未幡として最も盛んにに活動しており、また最も多くの方に拙作を読んでいただけていると思います。私はそれがとても嬉しいです。創作行為はどんなに規模が変わっても、つきつめれば作り手と受け手の一対一のものです。しかしその一対一がたくさん存在してるということが私には単純に嬉しいですし、また一定の規模が成り立っていることで創作を仕事として続けていくことが出来ています。1999年の自分は漫画家になりたい気持ちはあれど、そうなれるとは思っていませんでした。今現在多くの方々に拙作を読んでいただけて、漫画家として商業活動を続けられていることにとても感謝しています。改めまして、皆様ほんとうに有り難うございます。
未幡の人生はこうもくっきり区分できるわけではなく、実際には色々な時期が重なり合っています。だいいち創作活動以外の学校やバイトといった私生活は丸ごと書いていません。それは未幡としての創作活動ではありませんが、未幡を形づくった私生活です。思春期も、出会いと別れも、幸不幸も、殆どこの20年に詰まっています。
私が未幡として皆さんにお見せしているものは、自分のある一面に過ぎません。ですが、描く漫画に込めているものは見せていない方も含めた全ての自分の一部です。これからどれだけ創作を続けていけるかはわかりませんが、少しづつ漫画に自分を込めていって、いつか自分を使い切って何も残らなくなるまで創作を続けていけたらなと思います。
2019/10/13 「N-28」20周年に際して 未幡